北海道勤労者医療協会
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謝れ、償え、なくせ原発−福島からの報告(2)
北海道民医連新聞 2011.10

ついて、学ぶ必要もない」「放射線について、基礎知識すらない」状態でした。
 事故後、県民は自発的に学校や地域で学習会をすすめました。それが怒りへとつながり、対策の改善を求める大きな世論となって国や県を動かしています。

いま急がれる対策

 今回の事故を体験することで、白日の下にさらされた問題は実に多方面にわたりますが、とりわけ原発を抱える地域で急がなければならない問題があります。
 国が定める防災対策の範囲は、「10キロ圏内」とされていますが、これは今すぐ拡大しなければなりません。防災計画も訓練も何も役に立ちませんでした。緊急事態に対応するためのオフサイトセンターも電源喪失でまったく役に立ちませんでした。もし電源が通じていたとしても、放射線量が高くて使えなかったでしょう。そんなところに緊急事態対応施設を作っても意味がありまぜん。緊急時医療対策も機能しませんでした。「ヨウ素剤の配布・使用も国からの指示がなく実施されませんでした。」これら(まったく機能しなかった緊急時対策をすべて早急に見直さなければなりません。

原発からの撤退を

 被害を受けた人の多くが、明日のくらしにも困っています。しかし、東電も国も被害を限りなく小さく狭くしようとしており、被害者はここでも苦しまされています。福島県復興ビジョン検討委員会は「原発に依存しない、安全・安心で持続的発展可能な社会づくり」を基本理念の第一にかかげました。ところが、東電も国も県知事もいまだに福島県に残る6基の原子炉の廃炉に言及しません。斯くのごとき苦難を与えておいて、なお原発を推進しようというのでしょうか。怒りがこみ上げてきます。
 福島県民の気持ちは「謝れ、償え、なくせ原発」に尽きます。しかし、国も経産省も東電も誰も「原発推進政策が誤りだった」とは言っていません。人間は地震の発生をとめることができません。今のままでは、日本のどこかで福島で起こった苦難が繰り返される危険は少なくないのです。だからこそ、わたしたちは「原発をなくす」という国民の合意を1日も早く作り上げるために全力を挙げます。

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