公益社団法人北海道勤労者医療協会
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希望ある春へ 若者の就職難を考えるシンポジュウム(3)
北海道民医連新聞 2012.07
 「本当は進学したかったけれど、卒業後すぐに就職したいから来た」そういう生徒がかなりいます。以前担任をしていたクラスは、40人中15人が母子家庭、生活保護世帯が3人でした。ですから、入学時から「就職したい。きちんとした資格を身につけてしっかりとした会社に入りたい」という子が多いのです。
 母子家庭の多くは、お母さんの月収が10万円程度にすぎず、生活保護を利用していないので、子どもたちが働いて家計を助けるようになります。学校が終わってから9時までコンビニで働き、そのあとも夜中までラーメン屋で働いて、月に15万円ほど稼いで家にお金を入れている子もいます。
 工業高校の生徒たちは、3K職場をいとわない集団です。どんなにきつくても、どんなにハードでも働こうとします。そういう高校でも求人が減っています。リーマンショックが起こった2009年の卒業生は、それ以前に内定が決まっていた人もいて就職率は落ちませんでした。次の年には就職率がガクンと落ちました。それまで成績のいい生徒たちは、トヨタ、新日鉄、新日鐵室蘭、JR、北海道電力などに就職してきました。これらの企業は、推薦した生徒をほとんど採ってくれていました。今では求人の人数も減り合格率も下がって、半減してしまいました。

 求人数全体が落ちこんでいるなかで、「正規職員」といいながら、試用期間がやたら長かったり、定年「一定年度たったら正職員にし
ますよ」など、信用していいかわからないような求人もあります。月給制から日給月給制に変わるなど、求人の内容も変わってきてい
ます。数字のマジックで就職率は改善されているように見えますが、実際はそう単純ではありません。多くの学校では最初から自分は
就職できないと諦めている生徒は、「就職希望」の分母の中に入れていないのです。
 幸い2011年は、機械科は就職希望者33人中、30人まで就職が決まりました。しかし、来2013年度卒業生の求人数は、2年
前に比べて100社も減っています。

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