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日本社会を崩壊させる消費税−斎藤貴男さん講演(1)
北海道民医連新聞 2012.01

増える失業・ワーキングプア/残酷で理不尽な弱い者いじめの税制

 2012年にも消費税増税法案が上程されようとしています。2011年12月9日、消費税廃止北海道各界連絡会は、ジャーナリストの斎藤貴男さんを迎えて、消費税の問題点についての学習会を行いました。その講演の要旨を紹介します。 (要約は編集部)

 今は消費税礼賛一色です。どこのマスコミでも「増税やむなし」どころか、「やるべし。それが責任ある政治だ」と平然と報道しています。最近、反対意見が取り上げられるようになりましたが、消費税の逆進性と増税のもたらす景気悪化の 2つの問題に触れるだけです。私はもう少し別な視点でお話します。
 消費税という税制は、悲惨な、身の毛もよだつような残酷で理不尽なものだと思います。結論から言えば、今の状況で消費税を5%から10%に増やすと、日本全国にある零細企業の大部分が廃業に追い込まれ、そこで働いている人の失業が増えます。失業率は今の5% から2桁に増え、職に就ける方でも所得は激減するでしょう。その中からは自殺者がかなりでます。消費税が3%から5%になった翌年の1998年から年間自殺者が3万人を超え続けていますが、5万人を超えるでしょう。日本は自殺率でみると先進国中ワーストワンで、全世界でも5、6番目です。これが世界最悪になります。

零細企業に負担、無理ある税制

 消費税の本質の一つは、「納税義務者の定めはあるが、担税者の定めがない」ということです。現在の納税義務者は、年間売上高1 000万円以上の事業者です。実際に税金を負担する人が決まっていません。財務省やマスコミは、消費者が負担していると説明しますが、これはウソです。
 たとえば、ガラス屋さんが、ある家の割れたガラスを取り替えたとします。するとお客さんから「消費税分まけてくれないか」と言われます。ガラス屋は大手チェーンにお客をとられないために、値引きせざるをえません。消費税を消費者から預かっていないのに納めなればなりません。これは、ほとんどありとあらゆるところで起きています。多くの下請けも元請けに泣かされています。
 国税の新規発生滞納額は 1992年の1兆8903 億円をピークに、2008 年度は半分になっています。.国税庁の取り立てが強化されたからです。しかし消費税の滞納は余り減らず、2008年度は滞納総額の45.8%、2009年度は50%を超えています。国は「悪質滞納者が多い。だからもっと取り立てを強めなければならない」といいます。しかし、消費税だけ滞納が半数近くを占めるのは、それだけ無理のある税制だからです。

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