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自然災害から学ぶ危機管理 岡田弘さん講演(3)
友の会新聞 2012.01

つまり、保育士や先生、小中学生たちは、しっかりと勉強して自然災害に対して危機感を持っていました。あの大きな地震を感じて、すぐ「ピン」ときたのです。「いま避難するしかない」と。ですから、行動できました。危機感を持って、普段から備えておくことはできるのです。

住んでいる地域を知ることが大切

 2004年、タイのプーケット島のビーチで、クリスマス休暇を過ごしていたイギリスの10 歳の少女が、海の水が泡立って波が引き、遠くの船が大きく揺れるのを見て、「これ、津波だよ。引き返さないといけない」と叫びました。少女の両親が周りの人たちに避難を呼びかけ、約百人が助かりました。
 このインド洋大津波では、日本人をはじめ多くの観光客が犠牲になっています。少女は学校で地理学の教師から、日本や環太平洋では地震が起こって津波が起こると、2週間前に学んだばかりでした。
 津波から一年後の記念日に招かれた少女は、「津波や他の自然災害について、世界の子どもたちが学んでおくのはとっても大切なことだと思う」と話しました。すごいですね。イギリスでは地震はありませんし、したがって津波警報もない。そういう所に住んでいる子どもでさえ学んでいるのです。こういう教育を行い、あるいは危機感を持って事前に考えていたところでは、大きな成果が得られたと思います。
 私たちは普段から自分の住んでいる町の歴史、それからこれから起こるであろう現象の範囲、そういうことを普段から勉強しておくことがとても大事なのではないかと思っています。

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